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和田屋 女将のつれづれ

お知らせや、山間の生活の中の小さな出来事などをお伝えさせて頂きます。

和田屋昔ばなし・其の壱

創業江戸慶応(150年余り)の和田屋の昔話。
この家で育った私ですから、祖父母や両親に聞いた話を綴って参ります。
古き良き時代の話し、近年で私が覚えている様々な話しを、笑ってお聞き頂ければ幸いでございます。

■代々商いをさせて頂いておりますと、少しずつ時代に応じての、家族の年末年始の過ごし方や、商いのやり方も変わってまいります。

私が子供の頃、丁度今から45年くらい前でしょうか、十二月も二十日頃になりますと、毎年のおせちご注文頂きますお得意様のそれぞれのお宅から、おせちを詰めるお重が届いておりました。

もちろん、取りに伺うこともございました。

元々、この鶴来町(現在は合併して白山市)は、山持ちや土地持ちや、昔からのお商売などに長けた方々が多くいらして、

お重といえば、奥様がお嫁入りの時に持ってらしたものとか、特注でお作りになった物とか、それはそれは、蒔絵の金の盛りが厚い立派なお重が多くて、それぞれのお家方の宝ですから、扱うときはたいへんに気が張りました。

また、大きさもそれぞれ違いますから、中身のおせちも入る量が一つづつ違うのです。

「◯◯様のお重」とメモを置いて、鰤の西京焼き◯◯個、鰻巻き卵◯◯個、などと、板場は詰めながらメモを取り、それぞれのお家方によって、お値段が変わるので、詰めている途中でわからなくなってしまったりすると、小さいお重ならよいのですが、深くて、それは大きいお重もありましたから、何度かやり直して…。

また、◯◯様のお重には◯◯は要らない、◯◯様のお重には、◯◯多目とかという特別注文もありまして、一つのお重を詰めるのに、それはそれは時間がかかっておったように記憶しております。

あの当時で、二十数個のおせちをお詰めしてお届けして、その後、三十一日のお泊まり様のお迎え、もっと前のお泊まり様がないときは、白山さんの隣だから、夜通し店を開けて、夜中も料理を出していたそうだから、昔の人はよく働いたものと頭が下がる思いでおります。

今は、気の張るお重に何かあってはと、決まった大きさのお重になり、入る数も同じなので楽をさせて頂いております。

子供心に、鶴や亀や松竹梅や蛤やらの立派な立派なお重を、ものすごく丁寧に扱う両親や他の皆さんの姿を見て、たくさん学んだ事を思い出します。

※2017年婦人画報様に当屋のおせちをご紹介頂きました。

※この話は、先月、和田屋FBで載せさせて頂いたところ、たくさんの方に反響頂きまして、和田屋Hpでも綴らせて頂くことに致しました。ほんとうにありがとうございます。     六代目女将 和田智子(さとこ)

2019年12月7日

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